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まだ夢の途中です!/KAI LENNY

2015.09.11

先日、9月4日(金)~6日(日)にかけて、神奈川県の湘南、葉山港、および逗子海岸周辺にて開催されたSUPの世界最高峰の大会である、WATERMAN LEAGUE WORLD SERIES 「Victoria Cup HAYAMA PRO」の余韻はまだ残っている人も少なくないと思う。

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それは、劇的なドラマで幕を閉じたことで、その最後のシーンが頭に焼き付いたからだ。

その劇的なドラマの中心となったのは、SUP界でのヒーローであり、世界チャンピオンでもあるハワイ出身のKAI LENNYだ。

彼は、ロングディンスタンスでは惜しくも同じハワイ出身のCONNOR BAXTERに敗れ、2位となったが、その後のスプリントトーナメントにおいて、ファイナルで、スタート直後はCONNORとCASPERに次いで3位だったのが、CONNORとCASPERがすぐ前で競い合っているすきを狙って最後の最後のコースで逆転し、見事に優勝してしまったのだ。

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会場となった逗子海岸では、KAIのその逆転劇に興奮し、しばらくギャラリーは放心状態となっていたのも覚えている。

また、ロングディスタンスとスプリントトーナメントとの総合でトータルポイントで1位となり、見事に総合優勝を飾ったのだ。

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最後の逆転劇について聞いてみたら、彼はこう語っていた。

「CONNORやCASPERは優れたレーサーだし、簡単に抜くことはできないことはわかっていた。でも、前でその二人が競い合っていたのも見えていたし、過去のレースで彼らの走りや抜き方などもわかってきていたので、一瞬のすきを見て、勝負に出てみたら、幸運にも抜けることができて良かった。」

このできすぎたストーリーに誰もが感動し、歴史に残る大会となったと思う。

でも、これが世界の大会であり、何があるかわからないのが、レースだと思う。

今回はKAI LENNYを中心とした大会だった雰囲気は隠せないが、ほかにもCONNOR BAXTERや、2014年のWORLD SERIESヨーロッパチャンピオンのデンマーク出身ZANE SCHWEITZER、今年のヨーロッパ・ランキング1位をキープしているデンマーク出身のCASPER STEINFATH、昨年の日本でのチャレンジシリーズで優勝したMO FREITASなど、素晴らしい世界的な選手が多く来日し、彼らがいたからこそ、この素晴らしい大会が開けたことを感謝したいと思う。

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3kmオープンレース前にギャラリーの犬と戯れるZANE SCHWEITZER

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3kmオープンレース前にインタビューを受けるCONNOR BAXTER

 

ところで、KAI LENNYは、前回に日本に来たのは17歳のころで、湘南の某シークレット・ポイントでSUPサーフィンをして、そのハイレベルなテクニックを日本で披露し、まだSUPがあまりメジャーではなかったころに、周りのウインドサーファーやサーファーたちは、それを目の当たりにして、その衝撃を隠せず、一瞬にして若干17歳の少年の虜にされてしまったのは事実だろう。

そんな彼が、今回のVictoria Cup HAYAMA PROにて、見事に総合優勝してしまったのだ。それも、劇的な逆転劇で。

今回は彼にインタビューしたので、その内容についてご紹介しましょう。

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彼は、1992年10月8日生まれで、今年で23歳になるが、まだ今の時点(2015年9月時点)ではギリギリ22歳だ。

ハワイのマウイ島で生まれ、周りを海に囲まれ、海が大好きだった両親のもとですくすくと育っていった。

初めて海に入ったのはもう覚えていないということだが、サーフィンを始めたのはおそらく4歳のころだったという。

また、その後、6歳にはウインドサーフィンを、7歳にしてSUPを、9歳の時にはすでにカイトサーフィンやトゥインサーフィンを始めていたという。

また、ウインドサーフィンを始め、メキメキと頭角をあらわしてきたのもロビーナッシュという、ウインドサーフィン界ではすでに神様の域に入っているという存在が身近にいたからで、そのロビーに全てを教わり、ロビーがいたからこそ、今の自分がいると言っても過言ではないと語っている。それだけロビーからの影響がかなり大きいようだ。

まだ12~13歳のころには、伝統あるハワイのウインドサーフィンのウェイブコンテストであるアロハクラシックにキッズクラスで出場していたようだが、そのころはまだマストハイの波に粉々にされていたようだ。でも、わずか半年後には、そのウインドサーフィンの聖地ホキーパで平然とリッピングを決め、大人たちと混じって、その年齢を思わせないマニューバーを描いていたという。

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ウインドサーフィン専門誌HI-WINDの2010年2月号バックナンバーより

http://www.hi-wind.net/magazine/10/1002.html

 

そして17歳にしてあの大波で世界的に有名なJAWSをメイク。

生れたときからの環境もそうだが、彼の素質と才能をロビーナッシュという世界的なレジェンドウインドサーファーが見出し、その才能に気づくか気づかないうちに自分でその才能を開花させ、さらに周りの両親やスポンサーからのサポートも受けながら、今日に至っているようだ。

とても恵まれた環境で育ってきていることは否定できないが、裏では彼なりの努力もしているようだ。

普段はトレーニングは4週間に一度ハードなトレーニングをしているようで、大会と大会の間にはジムへ行ったり、ランニング、スイミング、自転車などを取り入れながら、毎日のトレーニングを欠かさず続けている。

また、当然、SUPはもちろん、サーフィンやウインドサーフィン、カイトなどもそれぞれのトレーニングになるので、相乗効果もあり、欠かさないという。

大会では当然悔しい思いもして、10代のころには周りの大人たちにも怒られながら人知れず涙していたこともあるに違いない。でも、そこでさらにそれをバネにしてここまできているのも事実だろうし、それができたのも、周りの環境をそうなるように自分で作ってきたということも言えるだろう。

若くしてここまでできる人間はそういないと思う。きっとどこかで傲慢になり、恵まれた環境に気づかないうちに、できなくなると辞めてしまったり、周りのせいにしてしまう人もいると思うし、たとえ続けていたとしても、年を重ね、大会で勝てなくなったときにそれに気づいてもすでに遅い。でも、KAIの場合には、十分にそれを理解し、周りへの配慮を一番に考え、いつも忘れていないように思えた。

SUP界において、WATERMAN LEAGUE WORLD TOURでは、2010年(17歳~18歳のとき)から年間チャンピオン(2012年だけ3位)を毎年達成し、その実績はすでに誰もが認めるところまで来ている。

この先、どこまでそのタイトルを続けられるか、これからが楽しみだ。また、人間としての成長もとても楽しみだ。

あと、彼はSUPだけに限らず、ウインドサーフィンでも、カイトサーフィンでも、その実力は発揮し、何でもこなす真のウォーターマンとして、君臨している。

でも、彼の中では、まだそれは夢の途中だという。

近い目標としては、まずは今年のSUPのタイトルを、ウェイブとレーシングで取ることが目標だが、その先には、ウインドサーフィン、カイトサーフィン、サーフィン、トゥーインサーフィンと、どれも誰もが認める世界のトップの存在となり、いつかロビーナッシュのようになりたい、というのが彼の中のゴールのようだ。

つまり、実力は当然のことながら、人間としてもっともっと成長していきたい、ということなのだろう。

今回の日本での大会について最後に聞いてみたが、日本の雰囲気はとても良く、悪いと思わせるような人は一人もいなかったという。

また、今回のロングディスタンスのコースについても、アップウインドやダウンウインドが長くとってあったが、それも逗子湾の中や、さらにその沖合までと続き、とてもバラエティに富んだコースだったので、面白かったという。

彼自身もいろいろなコースがあった方が、誰にでもチャンスが訪れやすいので好きだと言っていた。

 

大会の次の日には、すぐに千葉へ行って、台風17号からの東寄りのうねりが反応しだしていたこともあり、リラックスしてサーフィンやSUPサーフィンを楽しんでいた。

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KAIと一緒に来ていた同じTEAM NAISHのNOA GINELLA。

彼はビッグウェイバーでもあり、レースボードでチューブに入ってしまうほどの腕の持ち主。

 

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KAIやNOAと一緒のファンセッションをした阿出川潤さん。

今回のコーディネイトありがとうございます!

 

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阿出川潤さんの際どいリッピング!

 

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KAIやNOA、そして潤さんがいると聞いてわざわざきてくれた我らが日本の本橋政浩。

 

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ただし、彼はいつも笑顔を絶やさず、プライベートな時間の間でも、ギャラリーたちに対してはとても紳士的で優しい一面を見せ、スターとしてファンが常に増えていくことが納得できた瞬間でもあった。

次には9月26日から、カリフォルニアのハンティントンビーチで開催される、US OPEN of Stand Up Paddlingがあるが、そこでも彼の実力が発揮されることと思う。

詳しくは、以下のサイトにて。

http://watermanleague.com/events-cat/stand-up-world-tour#

みんなでこれからも彼のことを応援していきましょう!

 

取材協力:

NAISH JAPAN

http://www.naishjapan.com/

TED’S OCEAN SPOTRTS

http://www.paddlesurf.jp/

 

取材記事・PHOTO:OCEANS MAGAZINE

 

 


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