新着ニュース&ブログ

今月の特集

金子ケニー/本気の日本人がいることを世界に証明したい。 そして、海をもっと知ってもらい、海洋民族であった日本人としての誇りを取り戻したい。

2015.04.09

ケニー1

<カリフォルニアでの10年間が基礎となる>

金子ケニー、1988年1月21日生まれ 27歳。

8歳までは湘南の茅ヶ崎で生まれ育ち、そのころは遊びでたまにサーフィンはしていたが、本気で海で遊ぶことはなく、むしろ海で遊ぶことを嫌っていたケニー。その後、父親(デューク金子)の仕事の関係でカリフォルニア州アーバインへ移住し、そこから彼の人生が変わり始める。

父親デュークとレストランにて

父親デュークとレストランにて

 

家は海から15分という好立地にあり、小学校6年生のころには、すでにサーフィンは

当たり前で、ジュニアライフセービングクラブで海の基本を学び、自然と海との関わり方を身につけていく。また、水泳も初め、カリフォルニア州アーバイン代表にもなる。

また、高校に入るとサッカーに夢中になり、クラブチームに入ると、その頭角を現すようになり、カリフォルニア州代表や、アメリカ代表選手となり、米国内や海外を転戦し、やがてプロを目指すようになる。ただし、サッカーのトレーニングの合間を見て、3か月ごとに部活を選べる高校では、水泳や競泳などのトレーニングにも励み、週末は父親の影響でカヌーをこのころから漕ぎ始める。高校3年生のころに日本(湘南茅ヶ崎)へ帰ってきても、サッカーの才能を認められ、東京ベルディ・ユースに所属し、サッカーに明け暮れていた。

しかし、ここで彼の転機が訪れる。

サッカー少年だったころ

サッカー少年だったころ

 

<彼の転機が訪れる>

東京ベルディ・ユースでサッカーのトレーニング中にヒザの前十字靭帯を痛めてしまい、それまで、このままいけばプロサッカー選手も夢ではなく、むしろその夢はもうすぐ目の前まで迫っていたときに、突然プロへの道が閉ざされてしまう。怪我が治るまでの時間を考えると、プロへの道はまた遠ざかり、そのころ高校卒業と同時にプロサッカー選手になる選手も多かったので、年齢のことを考えると、大きな決断をせざるを得ない状況となっていた。その後、相当悩んだあげく、彼は大学への進学を選び、国際基督教大学へ進む。

 

大学に入ってからは、カリフォルニアで楽しみ、身につけていた海での生活やライフスタイルが忘れられず、サーフィンをするようにはなっていたが、カリフォルニアに比べると、波があまりないことと、サーフポイントには人も多く、かえってストレスがたまり、これは自分が求めているライフスタイルを描くことができないと判断。そして彼が考えたのは、カヌーなら、沖に出てしまえば人もいなく、波もあまり関係なく、ストレス解消にもなり、カリフォルニアと同じような大海原を自由に漕ぐことができるので、これこそ自分が求めているものかも、と確信する。そこで父親の乗っていたOC6(6人乗りのアウトリガーカヌー)に乗り始め、その楽しさにどんどんとハマリ始める。また、OC6に乗ると同時に、OC1(1人乗りのアウトリガーカヌー)にも乗り始め、漕ぐことの楽しさと同時にその奥深さにも魅力を感じ始め、そこから彼の海への関わり方が固まり始める。

アウトリガーカヌー6人乗り(マウイ)

アウトリガーカヌー6人乗り(マウイ)

 

改めて世界のアウトリガーカヌーを見てみると、たとえばハワイのカヌーなど、パドリング競技をやっている人は、プロサーファーも多く、大会に向けてトレーニングしていることも少なくない。そして、そこから波や風、潮などを見る目を養い、サーフィンやウインドサーフィン、ボディサーフィンなどに生かしている人も少なくない。考えてみれば、ハワイやオーストラリアでは、あえてサーフィン、ウインドサーフィン、ヨット、アウトリガーカヌーなどとそれぞれ分けて考える習慣があまりなく、その日のコンディションに合わせて、自然とそのスポーツを楽しみ、全ては海との関わり方、そして海との共存、自然との調和を、生まれたころから身についていることが言える。それを教えてくれるのは、アウトリガーカヌーなのかもしれない。彼は、それに気がつき、もっともっと海を知り、海との調和を求め、自然の中に身を置くことにより、いろいろなことが見えてきて、いろいろなことを教えてもらえるという、そうした素晴らしさに気が付いていたのだと思う。

 

<結果を残すことによって海を知ってもらうきっかけになったら良い>

OC1を漕ぐようになって、彼は世界大会で結果を残し、日本人でも海のアスリートがいて、世界で戦える本気の日本人がいることを証明したい、と思うようになる。サッカーや野球は、日本人が世界に認められるところまで来ているが、海の世界では、それまで、確かに海で戦える日本人がいたことはいたが、なかなかそのあとが続いていなかったことは否定できない。今でも世界に出て行く日本人もいるが、経済的な理由や環境面などで、断念してしまう人も少なくないと思う。また、最近では、かなり世界に近くなってきているとしても、世界の壁がまだまだ大きいのは事実だと思う。彼は、そうした中で、本気の日本人がいることを証明したいと強く思っている。

 

モロカイ島からオアフ島までの42マイル(約67km)をカヌーで漕ぐ世界で最も伝統的で過酷なレースと言われる、モロカイ海峡横断レース「MOLOKA’I HOE」に、彼は今年で5回目の出場を予定している。過去の4回の戦いでは、毎回順位を上げ、昨年は日本人最高位の16位という結果を残している。彼は、経験とスキルが最も重要とされているこのレースにおいて、30代がもっとも結果を残しやすいと考え、それに向けて着々と前に突き進んでいる。

アウトリガー1人乗りにてトレーニング

アウトリガー1人乗りにてトレーニング

 

<SUPへの挑戦>

彼は、ちょうど2年前に、カヌーでの実績や実力をかわれ、ある人からSUPレースへの挑戦を誘われる。海を漕ぐという意味ではそんなに抵抗はなく、むしろ、そのころ本格的なパドラーがまだレース界にはいなかったこともあり、その挑戦を選んだ、パドルの基本的な漕ぎ方を知っている彼にとって、SUPレースは、カヌーレースでのトレーニングの成果を発揮する良いチャンスでもあり、また、その手ごたえも十分にあったので、カヌーと同様に世界への挑戦がすぐに想像できた。

SUPでのトレーニング

SUPでのトレーニング

 

彼の言葉通り、2年目にして、アジアで初めて開催されたSUP世界大会の前哨戦でもある、茅ヶ崎にて昨年開催された国際スタンドアップパドルレース「ウォーターマンリーグチャレンジシリーズ・湘南茅ヶ崎プロ」に出場し、世界の強豪の中で堂々とファイナルへ進出。そして、日本人最高位を記録している。また、その後、SUP全日本選手権大会では、見事に優勝という結果を残し、日本代表として、今年5月にメキシコで開催されるISA SUP世界選手権大会への出場権を手に入れている。

2014年8月ウォーターマンリーグ・チャレンジシリーズでのファイナリスト

2014年8月ウォーターマンリーグ・チャレンジシリーズでのファイナリスト

ウォーターマンリーグ・チャレンジシリーズにて日本人としてトップフィニッシュ

ウォーターマンリーグ・チャレンジシリーズにて日本人としてトップフィニッシュ

 

ただ、彼の言葉の中には“満足”という文字はない。国内でトップをとることを目標にしてきているわけではなく、あくまでも彼が目指すものは世界での結果であり、それもそれが最終目標ではなく、目指しているものは、世界の中で本気で海で戦える日本人がいることの証明と、それによって世の中の注目度を高め、日本人という海洋民族としての誇りをよみがえらせ、海をもっと広く知ってもらいたい、という願いに向けた途中経過にすぎないのだ。

 

<これからの夢>

彼は、今年でSUPを始めて3年目を迎える。この3年目にして、世界での表彰台を目指している。また、もともと彼の原点でもあるアウトリガーカヌーのOC1でも、世界で最も過酷と言われているモロカイ海峡横断レースでのTOP5、そして優勝を本気で目指している。また、その手ごたえも十分に感じている。

カヌーは、漕ぐたびに水の感覚を感じることができ、海を感じられる素晴らしいスポーツだと言う。これは、カヌーをやったことのある人ならみんな感じているのかもしれない。彼は、アスリートとして優れている以上に、人間として、海とどう関わったら良いか、また、日本人としてどう海と向き合えば良いのかを日々模索しつつも、少しずつその方向性が見えてきているのだと思う。

ケニー6

 

今年は戦後70年という節目を表現するために、葉山から沖縄までのパドルリレーを企画、予定しているという。これは、3~4人でアウトリガーカヌーを漕いでいくものだが、場所や日程によって交替で漕いでいくもので、自分たちでというよりは、パドラー、もしくはそれを経験してみたい人も含め、みんなで海を漕いで、渡って、もともと日本人として持っていた海洋民族としての魂や誇りをみんなで感じながら沖縄を目指していく、というものだ。もちろん、そこにはチャレンジとか冒険とかなどという文字は無く、ただ海を漕いで渡っていく、というシンプルなものだ。

 

最後に、彼は常に海をもっと知ってもらい、海の素晴らしさや奥深さ、そして本当の海の姿を伝えていけたらと言っている。そして、「Aloha Spirit」をいつも忘れずに、感じ続けながら海と向き合って欲しいと語っている。

今後の彼の活動を応援したいと思います。

 

ケニーが代表、メインインストラクターを務めるTEAM KOKUA SUP

ケニーが代表、メインインストラクターを務めるTEAM KOKUA SUP

彼の活動を見るには、以下をアクセスしてみてください。

ケニー金子のオフィシャルブログ:http://ameblo.jp/kenny-kaneko/

 

また、今年5月に開催されるメキシコでのISA SUP世界大会へのケニー金子の挑戦をみんなで応援するプロジェクトがあります。

詳しくは、https://cf.sportie.jp/sportie/projects/966-2015-5-isa-sup


PageTop