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ミストラル吹き荒れる!セーリングワールドカップ・イエール開幕!/バルクヘッドマガジン
2016.04.28
4月27日、フランス・イエールで「セーリングワールドカップ・イエール」がはじまりました。この大会は年間5戦おこなわれるワールドカップの第 3戦で、出場は各クラス上位40艇に限定されています。8月のリオ五輪までワールドカップが本大会とイギリス・ウエイマスの2大会しか残されていないこと もあり、レース経験を求めるランキング上位選手が出場しています。(BHM編集部)
リオ五輪まであと100日。フランス・イエールにランキング上位選手が集まりました。大会初日はミストラルが吹き大荒れの1日に。photo by Junichi Hirai
この上位限定システムになって実質2年目を迎えますが、残念ながらワールドカップは順調と呼べないようです。昨年はプリンセスソフィア杯がイエー ル大会の予選になっていましたが、今年は予選なし。クラスによっては、ランキング30位までにインビテーションが出され、なんと残り10艇は実質「早いも の勝ち」というアンフェア極まりない限定大会となっています。
ある国の選手は、正式にエントリーできなかったにも関わらず、前日に大会受付に掛けあったら出場可能になったという、なんとも不明瞭な参加資格で す。選手に負担を掛ける日程の問題、ファイナルのアブダビ戦の取り止め等、ワールドカップのシステムそのものが、改変時期に来ているといえるでしょう。
こうした内情とは反対に、リオ五輪を直前に控えるトップセーラーは急成長をみせています。五輪期間の4年間で最もブラッシュアップされているこの時期、ほとんどの国で代表選手が決まり、セーリングに磨きを掛けて挑んでいます。
セーリングワールドカップ・イエール大会に出場する日本選手は次の通りです。
470級女子
吉田 愛/吉岡美帆(ベネッセホールディングス)
470級男子
市野直毅/長谷川孝(和歌山セーリングクラブ、横浜ゴムMBジャパン)
49er級
牧野幸雄/高橋賢次(トヨタ自動車東日本)
RS:X級男子
富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
RS:X級女子
伊勢田愛(福井県体育協会)
初日は、30ノットオーバーのミストラルが吹き荒れるイエールの洗礼にトラブル艇続出。日本チームも強風レースにミスの目立つ1日になりました。セーリングワールドカップ・イエールは5月1日まで開催されます。
3月からリオで合宿している富澤 慎。海外大会はイエールに絞って出場しています。大会初日は15位発進となりました。photo by Junichi Hirai
迫力満点のフィン級。日本選手は出場していません。photo by Junichi Hirai
レース海面はブロースポットがあり、最大40ノット近くのガストが襲いました。photo by Junichi Hirai
アブダビ戦(五輪選考)で体重を限界まで落とし、リオに向けて増量中の牧野/高橋。photo by Junichi Hirai
RS:X級女子日本代表の伊勢田愛。約1週間の現地練習を経て挑みます。photo by Junichi Hirai
驚くほど痩せていたRS:X級代表の富澤 慎。話を聞くと半年間で7キロ減量したとか(現在70キロ)。「軽風以下の風で想像以上に速くなってます」と自信たっぷり。photo by Junichi Hirai
470級の市野/長谷川。「他国の選手がものすごくレベルアップしている。東京を目指していますが、このレベルは今しか体験できないので、負けてられないという気持ちで出場しました」(市野直毅)。photo by Junichi Hirai
イエールはワールドカップで最もメディア(100人近く)が集まる大会。席の確保が大変です。photo by Junichi Hirai
セーリングワールドカップ・イエール 大会初日成績
470男子 参加39艇
1. AUS Mathew Belcher / William Ryan 3.00p
2. GBR Luke Patience / Chris Grube 6.00p
3. CRO Sime Fantela / Igor Marenic 7.00p
24. JPN 市野直毅/長谷川孝 45.00p
470女子 参加34艇
1. NZL Jo Aleh / Polly Powrie 3.00p
2. POL Agnieszka Skrzypulec / Irmina Mrozek Gliszczynska 7.00p
3. BRA Fernanda Oliveira / Ana Luiza Barbachan 8.00p
26. JPN 吉田 愛/吉岡美帆 50.00p
49er 参加40艇
1. NZL Peter Burling / Blair Tuke 4.00p
2. AUS William Phillips / Sam Phillips 5.00p
3. GBR John Pink / Stuart Bithell 7.00p
35. JPN 牧野幸雄/高橋賢次 59.00p
RS:X男子 参加40艇
1. POL Pawel Tarnowski 2.00p
2. POR Joao Rodrigues 6.00p
3. FRA Thomas Goyard 8.00p
15. JPN 富澤 慎 25.00p
RS:X女子 参加40艇
1. FRA Helene Noesmoen 2.00p
2. POL Maja Dziarnowska 3.00p
3. POL Zofia Noceti-Klepacka 5.00p
34. JPN 伊勢田愛 54.00p
【イエールに展示された東京五輪世代のフォイリングナクラ17】
大会会場に展示されていたナクラ17。昨年のルール改正許可を経て、ダガーボードとラダーがフォイル仕様になっています。5月にテストセーリングをおこなうとか。東京五輪はフライング・ナクラの戦いが見られるかもしれません。photo by Junichi Hirai
いま話題のZ字型ダガーボード。ユース種目のナクラ15でいち早くお披露目されました。ダガーの上げ下げ不要でフォイリング、タック・ジャイブが可能になります。ダガーボードは前後移動できます。photo by Junichi Hirai
ダガーボードケース。出着艇時のダガーはどうするのか? このままではスロープから人力で下ろせなそうですが……。続報を待ちましょう。photo by Junichi Hirai
バルクヘッドマガジンより
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OCEANS WATCHER
小川和幸
気象予報士、オーシャンプロデューサー
出生地 東京都目黒区
居住地 神奈川県茅ケ崎市在住
WATER KIDS JAPAN代表
OCEANS MAGAZINE編集長
特定非営利活動法人EARTH WIND & WAVE CLUB理事長
OCEANSMAGAZINE facebookページhttps://www.facebook.com/pages/Oceansmagazine/1503862653179360
大学では体育会ヨット部に入部し、副将として部員をまとめるとともに、大会では学生選手権大会で優勝し、全日本選手権大会では総合6位入賞という結果をもたらす。
その後、卒業とともにウインドサーフィンの魅力に魅せられ、それ以来、20年以上続ける。また、趣味を仕事にと、マリンスポーツ雑誌の老舗マリン企画へ入社し、ウインドサーフィン専門雑誌であるHi-Windで8年間広告営業として働く。
また、Hi-Wind時代に気象予報士の資格を取得し、世界最大の気象会社ウェザーニューズ社を経て老舗波情報である波伝説(サーフレジェンド社)へ転職して、14年間、海専門の気象予報士として働く。その間には、ラジオやTVで海の気象情報を伝えながら、日本国内におけるWCTやWQS(プロサーフィン世界大会)、プロウインドサーフィン大会、遠泳では湘南オープンウォータースイミング大会などのオフィシャル気象予報士として、マリンスポーツにおける海専門の気象予報のプロとして活躍。
現在は、独立してWATER KIDS JAPANを設立し、海の気象情報アプリ「ISLANDS WATCH」を企画・運営中。
また、特定非営利活動法人「EARTH WIND & WAVE CLUB」も立ち上げ、地元茅ヶ崎や奄美大島にて、その日のコンディションに合わせてマリンスポーツを楽しみながら、子どもから大人までに海の素晴らしさや奥深さを伝えている。