小川和幸info
第4回全日本選SUP選手権大会WAVE
2015.11.02
10月31日(土)~11月1日(日)にかけて、千葉県の白里海岸にて第4回全日本SUP選手権大会が開催されました。
10月31日(土)は、朝から雲に覆われ、西から張り出す高気圧から南海上の前線に向けて吹く北東寄りの風が朝から強めに吹いていて、午後には天気の回復とともに多少弱まるかと思いきや、一向に晴れることはなく、上空の強い寒気の影響もあり、途中雨が降ってくる中でさらに風も強まってきて、普段であればウインドサーフィンやカイトサーフィン向きのコンディションとなっていました。
波も東~南東寄りのうねりに加え、北東からの風波も強まり、胸~肩前後のかなりまとまりがない面がガタガタのジャンクコンディションで、潮の流れも強く、波もまともに乗れずに風下へ大きく流されてしまう選手が続出していました。また、沖までゲッティングアウトするのもままならず、ゲッティングアウトできたとしても、あらゆる方向から入ってくるうねりや波に悩まされ、立っているのも大変で、ゲッティングアウトして沖で波を待っている間も常にパドリングし続けなくてはならないという、非常に過酷でハードな状況の中で試合が進められていました。
そんな沖で立っているのが精いっぱいの中でも波を的確に捉え、波に合わせて乗れている選手は、やはり全日本に参加するだけあって、確実に次のヒートへ駒を進めていました。
今回の大会から、新たにリパチャージという、いわば敗者復活戦システムが加わったので、例えROUND1で負けてしまったとしても、もう一度敗者復活戦で戦うことができるので、今までのように、次のROUNDへ進むことができず、せっかく全日本へ出場したとしても、たった1回12分間の戦いで全てが終わってしまうということがなく、最低でも2ヒートは戦うことができるので、そういった意味でも、この全日本選手権大会のために千葉まで遥々来た意味はあるかという大会となっていました。
ただし、特に出場選手が多いシニアクラス(31~49歳)においては、リパチャージで3回以上勝たないと本戦に戻れない、という過酷な状況も背景にありましたが、それだけに負けることができない、という強い精神力も必要となった大会でもあったと思います。
大会2日目となると、初日とはうって変わって朝から雲が少なく晴れていて、綺麗な朝日も見ることができていました。
また、風も沖合ではまだ北東寄りの風が吹き続けていましたが、沿岸では北~北西寄りのオフショアにかわっていて、初日に比べるとだいぶ落ち着いたコンディションとなっていました。
いよいよ2日目最終日はそれぞれのクラスのファイナルまで行われますが、心配されていたコンディションも徐々に良くなり、日中は北東寄りの風が入ってきていましたが、そんなに強まることはなく、あまり風の影響もない中で、胸サイズくらいの波で、落ちついて戦うことができていました。
さすがにセミファイナル、そしてファイナルまで進んでくると、各クラスの上位選手たちは見たことがある強い選手たちばかりで、高得点を出しながらの、とても白熱した闘いとなっていました。
レディースクラス・ファイナリスト
マスタークラス・ファイナリスト
メンズクラス・ファイナリスト
特に注目されていたシニアクラスのファイナルに進んだのは、世界でも戦いってきていて、その実力と経験をまさに兼ね備え、今や油に乗りまくりの本橋選手、昨年の優勝者で、もはやウェイブの第一人者でもある堀越選手、世界のレースでも活躍し、日本のレースシーンをこれまで引っ張ってきている村林選手、 そして第2回優勝者でもあり、今回異常なまでに気合いの入っている原田選手の4名で繰り広げられました。
まずは世界でも戦ってきている本橋選手が先陣を切ってファーストウェイブをつかみ、レギュラー方向にスピードに乗った深いボトムターンからのトップがはっきりと波の上まで突き出るような鋭いリッピングを決め、ほかの3名を圧倒させたかと思えば、今回静かだがひしひしとその異常なまでに気合いが感じられていた原田選手も負けずとスピードのあるバックサイドターンでうまく波をつなげて点数を稼ぎます。また、日本のレースシーンを今までトップで引っ張ってきている村林選手も、途中からほか3名とは全く別の左側の海面を選んで、一人で良い波をゲットしようと待ち続け、着た波をつかむと深いボトムターンとカットバックをうまく組み合わせて果敢に攻めていました。そうした3名を尻目になかなか良い波をつかめず、それでも最後の最後まで良い波を待ち続けていた昨年優勝の堀越選手も攻めていましたが、なかなか点数を稼ぐことができず、ここまで調子が上がってきていただけに苦戦していました。そんな中で、本橋選手は悪い波には手を出さずに良い波だけをゲットするようにも見え、さすが世界で戦ってきているだけに、余裕さえ感じられ、かなり落ち着いていたかのようでした。原田選手も落ち着いて波を選びながらの素晴らしいライディングを見せていて、誰も譲る気は全く感じられず、誰に軍配が上がるかは終わってみないと本当にわからない状況となっていました。
そうした白熱した中で、最後の最後まで誰が優勝したのかはわからなかいうちに15分間の最後のフォーンが鳴り、今回の全日本選手権大会の全てのヒートが終了いたしました。
シニアクラス・ファイナリスト
その後、全てのファイナルヒートが終わってからは、各クラスの上位2名、合計6名の選手が来年の世界選手権大会の日本代表となる2枠を賭けた20分間の選考ヒートが行われました。
第4回全日本SUP選手権大会WAVEにおいては、千葉の白里海岸という、千葉でSUPが受け入れられ、また、サーフィンとうまく調和できてきた、とても意味と歴史のある場所においての開催となり、また、初日の悪状況も2日目の最高のコンディションも、どちらも千葉でしか味わえない千葉特有の自然の中で経験できた、とても意味深い大会が開催できたことを、心より感謝申し上げます。
今回の大会を主催し、運営されていたSUPAの方々をはじめ各メーカーの方々、地元ローカルの皆様、ジャッジの皆様、そして今回地元ショップということでアテンドをしていただいた阿出川潤様をはじめTED OCEAN SPORTS関係の皆様、本当にありがとうございました。
来年もまた素晴らしい全日本選手権大会が開かれますことを心より願っています。
レディースクラス優勝:堀越優華
レディースクラス表彰
メンズクラス(Under30)優勝:堀越力
メンズクラス表彰
マスタークラス(Over50)優勝:福田義明
マスタークラス表彰
シニアクラス(31~49)優勝:本橋政浩
シニアクラス表彰
世界選手権大会日本代表選考会優勝:原田俊広
世界選手権大会日本代表:原田俊広、堀越力
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OCEANS WATCHER
小川和幸
気象予報士、オーシャンプロデューサー
出生地 東京都目黒区
居住地 神奈川県茅ケ崎市在住
WATER KIDS JAPAN代表
OCEANS MAGAZINE編集長
特定非営利活動法人EARTH WIND & WAVE CLUB理事長
OCEANSMAGAZINE facebookページhttps://www.facebook.com/pages/Oceansmagazine/1503862653179360
大学では体育会ヨット部に入部し、副将として部員をまとめるとともに、大会では学生選手権大会で優勝し、全日本選手権大会では総合6位入賞という結果をもたらす。
その後、卒業とともにウインドサーフィンの魅力に魅せられ、それ以来、20年以上続ける。また、趣味を仕事にと、マリンスポーツ雑誌の老舗マリン企画へ入社し、ウインドサーフィン専門雑誌であるHi-Windで8年間広告営業として働く。
また、Hi-Wind時代に気象予報士の資格を取得し、世界最大の気象会社ウェザーニューズ社を経て老舗波情報である波伝説(サーフレジェンド社)へ転職して、14年間、海専門の気象予報士として働く。その間には、ラジオやTVで海の気象情報を伝えながら、日本国内におけるWCTやWQS(プロサーフィン世界大会)、プロウインドサーフィン大会、遠泳では湘南オープンウォータースイミング大会などのオフィシャル気象予報士として、マリンスポーツにおける海専門の気象予報のプロとして活躍。
現在は、独立してWATER KIDS JAPANを設立し、海の気象情報アプリ「ISLANDS WATCH」を企画・運営中。
また、特定非営利活動法人「EARTH WIND & WAVE CLUB」も立ち上げ、地元茅ヶ崎や奄美大島にて、その日のコンディションに合わせてマリンスポーツを楽しみながら、子どもから大人までに海の素晴らしさや奥深さを伝えている。