小川和幸info
苦境続くナクラ17。470女子、ラジアルは日本首位に。青島ワールドカップ2日目/バルクヘッドマガジン
2015.09.18
9月17日、中国青島で開催されている「ISAFセーリングワールドカップ」2日目。初日と似て風が弱い青島。時折、ブローが入ることがあるもの の長くは続かず、ブローとシフトを読むタクティカルなレースがおこなわれています。リオ五輪の予選となるナクラ17級は、軽風の風をつかみきれずに総合5 位と前日と変わらず。(BHM編集部)
ワールドカップ2日目、微軽風のなかで3レースおこなわれたナクラ17級。photo by Junichi Hirai
最も遠いエリアでおこなわれたナクラ17級のレースは、不安定な風のなかでおこなわれました。セーラーには「ダウンウインドでクルーが逆トラピー ズに出る風」と言った方がわかりやすいでしょうか。軽量揃いの他国に比べると後藤浩紀/田畑和歌子は不利な部分はあるものの、理由はそれだけではないで しょう。第5レースで2位を取ったものの、第6レースでは順位を落とす展開で7位のカットレースを作ってしまいました。
トップのシンガポールは、第6レースの3位をカットレースにオールトップの快進撃が続いています。今春までと比べて見違えたような走りの理由は分 かりませんが、その走りは見事のひとこと。大会3日目も同じように1位を並べたならば、シンガポールのアジア代表が濃厚となります。
他のクラスは、日本勢が健闘しています。470級女子の吉田 愛/吉岡美帆は、落ち着いた走りで首位を保守。4レースを終えて1位こそありませんが安定しています。「得意な風域ではありませんが、リスクを取らない走 りを心がけています。いまのところ自分たちの走りができていると思います。このまま行きたいですね」と笑顔の吉田愛。
また、レーザーラジアル級も土居愛実が強豪揃いのクラスで、2位と同点首位をキープしています。レーザーラジアル級はアジア中心の他クラスとは違 い、世界でもトップ10に入る中国、イギリス、ベラルーシなどの選手が出場し、シビアな戦いがおこなわれています。そのなかで土居の活躍には眼を見張るも のがあります。
「最近、自分が成長しているのを感じています。国際大会で1位を取れるようになってきているし、その調子を持続できるようになりたい。ヨットレースしていて楽しいです」(土居愛実)。
慶応大3年の彼女は、今春から秋までを休学して海外遠征を中心とした五輪活動に専念していました。今秋から復学して学業と並行しておこなうとのこ とで、「単位はほどんと取ってるので、残りの単位を秋に取って、来年(リオ五輪の年)は卒論だけにして卒業したい」と学業も優秀のようです。
ISAFセーリングワールドは前半を終了。残り2日間の予選と最終日のメダルレースを残すのみとなりました。日本に追い風が吹きますように。
後藤浩紀/田畑和歌子。上位を走ることができず厳しい戦いが続いています。photo by Junichi Hirai
オールトップの成績で快進撃を続けているシンガポール。photo by Junichi Hirai
オリンピックハーバーの防波堤には2008年につくられた五輪のモニュメントがあります。photo by Junichi Hirai
レーザー級に出場する安田真之助。第3レースで終盤までトップを走りましが、イギリスに抜かれて2位に。この夏は故障した膝を治療していましたが、来年のアブダビ・アジアカップ(アジア枠予選)を目標に追い込みをかけます。photo by Junichi Hirai
日本は出場していませんが、RS:X級男子のスタート。中国のRS:X級は男女とも世界でトップレベルです。photo by Junichi Hirai
レーザーラジアル級暫定トップの土居愛実。ロンドン以降、最も成長しているのは彼女かもしれません。トム・スリングスビー(AUS)、ポール・グッディソ ン(GBR)を指導したことで知られるアーサー・ブレッド(AUS)コーチとともにオーストラリア合宿、世界の主要レガッタを転戦しています。photo by Junichi Hirai
レーザーラジアル級の蛭田香名子。この夏は国内練習を中心にトレーニングを積みました。11月のオマーン世界選手権で国枠取り、日本代表を目指します。photo by Junichi Hirai
アジア予選になっているフィン級には中国9艇、イラン1艇(写真)が出場しています。イランのアウェー感は半端じゃないでしょう。photo by Junichi Hirai
ISAFセーリングワールドカップ青島大会初日成績
ナクラ17級 参加10艇
1. SIN Justin Liu / Denise Lim (1)-1-1-1-1-(3) 5.00p
2. HKG Tat Choi Fung / Yu Ting Chan 2-3-2-2-3-(8) 12.00p
3. CHN Zijin Wen / Rubei Yuan 3-2-(4)-4-4-1 14.00p
4. THA Damrongsak Vongtim / Nichapa Waiwai (5)-5-3-3-5-2 18.00p
5. JPN 後藤浩紀/田畑和歌子 4-4-6-5-2-(7) 21.00p
470級男子 参加26艇
1. CHN Hao Lan / Chao Wang 3-(19)-4-1 8.00p
2. ESP Onan Barreiros / Juan Curbelo Cabrera 1-4-(27)OCS-6 11.00p
3. CHN XIUJIAN HUANG / Yang Wang 6-3-6-(22) 15.00p
7. JPN 岡田圭樹/吉田雄悟 9-1-10-(12) 20.00p
470級女子 参加16艇
1. JPN 吉田 愛/吉岡美帆 (3)-2-2-2 6.00p
2. CHN Shasha Chen / Haiyan Gao 6-1-1-(9) 8.00p
3. ESP Angela Pumariega / Patricia Cantero Reina 2-5-(7)-4 11.00p
4. CHN Xiaoli Wang / Lizhu Huang (4)-4-4-3 11.00p
5. JPN 山口祥世/畑山絵里 (17)OCS-7-3-5 15.00p
レーザーラジアル級 参加28艇
1. JPN 土居愛実 1-(7)-3-4 8.00p
2. CAN Isabella-Anna Bertold 4-(12)-2 2 8.00p
3. CHN Dongshuang Zhang 5-3-(7)-3 11.00p
11. JPN 蛭田香名子 6-(19)-14-12 32.00p
レーザー級 参加37艇
1. GBR Lorenzo Chiavarini (17)-3-1-1 5.00p
2. BEL Wannes Van Laer (18)-9-3-2 14.00p
3. ISV Cy Thompson 3-5-(17)-7 15.00p
21. JPN 安田真之助 (36)-18-2-27 47.00p
◎ISAF SAILING WORLD CUP(成績、ニュース等)
http://www.sailing.org/worldcup/home.php
バルクヘッドマガジンより
http://bulkhead.jp/category/news/
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OCEANS WATCHER
小川和幸
気象予報士、オーシャンプロデューサー
出生地 東京都目黒区
居住地 神奈川県茅ケ崎市在住
WATER KIDS JAPAN代表
OCEANS MAGAZINE編集長
特定非営利活動法人EARTH WIND & WAVE CLUB理事長
OCEANSMAGAZINE facebookページhttps://www.facebook.com/pages/Oceansmagazine/1503862653179360
大学では体育会ヨット部に入部し、副将として部員をまとめるとともに、大会では学生選手権大会で優勝し、全日本選手権大会では総合6位入賞という結果をもたらす。
その後、卒業とともにウインドサーフィンの魅力に魅せられ、それ以来、20年以上続ける。また、趣味を仕事にと、マリンスポーツ雑誌の老舗マリン企画へ入社し、ウインドサーフィン専門雑誌であるHi-Windで8年間広告営業として働く。
また、Hi-Wind時代に気象予報士の資格を取得し、世界最大の気象会社ウェザーニューズ社を経て老舗波情報である波伝説(サーフレジェンド社)へ転職して、14年間、海専門の気象予報士として働く。その間には、ラジオやTVで海の気象情報を伝えながら、日本国内におけるWCTやWQS(プロサーフィン世界大会)、プロウインドサーフィン大会、遠泳では湘南オープンウォータースイミング大会などのオフィシャル気象予報士として、マリンスポーツにおける海専門の気象予報のプロとして活躍。
現在は、独立してWATER KIDS JAPANを設立し、海の気象情報アプリ「ISLANDS WATCH」を企画・運営中。
また、特定非営利活動法人「EARTH WIND & WAVE CLUB」も立ち上げ、地元茅ヶ崎や奄美大島にて、その日のコンディションに合わせてマリンスポーツを楽しみながら、子どもから大人までに海の素晴らしさや奥深さを伝えている。