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小川和幸info

49erFX日本の実力と期待。リオ五輪テストイベント4日目/ バルクヘッドマガジン

2015.08.19

8月18日、リオ五輪テストイベント4日目。朝から晴れ渡り、気温が上昇したリオデジャネイロは風なく陸上待機に。午後2時過ぎになって弱い南西 風が入り、一部のクラスからレース海面へ。しかし、その風も長続きせず、49erFX、RS:X級男女、レーザー&ラジアルだけがレースをおこな い、470級男女は海に出ることなく1日を終えました。(BHM編集部)

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49er級FXの松苗幸希/原田小夜子。中盤までトップに迫る快走をみせました。photo by Junichi Hirai

本日の注目は、49er級FXの松苗幸希/原田小夜子(ガルフネット)です。スタートは出遅れたものの、逃げた右海面で伸ばし、1上マークを3位 回航。さらに1下ではトップに僅差で続く2位回航で(編集長を)驚かせました。風は3〜5メートル程度、もっとも岸寄りの海面で49erFXのレースはお こなわれました。こうしたライトコンディションなら勝機があります。

しかし、2度めのアップウインドで松苗/原田は順位を落とし、最終11位へ後退してしまいました。順位を落としたのは残念ですが、彼女たちはキラリとひかるレースを見せてくれました。

49er級FXはロンドン五輪の後で採用が決定し、リオ五輪から実施されるあたらしい種目です。海外では470級女子から転向する選手、あらたに 始める選手がこの種目に参入して、女子の花型種目になりつつあります。現在、トップを走るスキッパーのマルチーヌ・グラエル(BRA)や2位のジュリア・ コンティ(ITA)は、ロンドンまで470女子で活躍していた選手です。

オリンピックでスキフ女子を採用する流れは、ロンドン以前からありましたが、正式に採用されたことにより、各国はこぞってこの種目に挑戦するようになりました。特にデンマーク、ドイツなどは国内の戦いが熾烈で、複数チームがワールドカップの上位に名を連ねます。

松苗/原田は日本代表としてテストイベントに出場していますが、日本国内でも数チームがリオを目指して活動を開始しました。この流れは他国に比べ て1、2年遅いスロースタートといえます。6月におこなわれた江の島オリンピックウィークは、(五輪出場を本格的に目指すチームの)実質はじめてのレース となり松苗/原田が優勝しましたが、彼女たちの実力が抜き出ているわけではありません。

松苗/原田の順位は現在19カ国中18位。これはいまの日本の現実的で順当な成績です。きびしさを感じながらも、本日のようなレース内容をみる と、豊富な伸びしろを感じたのも事実です。49er級FXは、11月にアルゼンチンで開催される世界選手権、そして来年3月アブダビのアジアカップがアジ ア大陸枠の最終選考になります。この2大会で五輪出場国枠を獲得できるかが勝負です。リオ、そして東京五輪へ向けた日本49erFX女子の成長を期待した いと思います。

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陸上待機になったため選手たちは木陰でリラックス。風が吹くのをじっと待ちます。photo by Junichi Hirai

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公式掲示板。マリーナの端にあるので「遠すぎる」という不満の声も。photo by Junichi Hirai

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掲示板には地元の天気予報と潮流の資料が掲示されています。ロンドンではJOCのマルチサポート事業として海面調査していましたが、リオ五輪ではロンドンのような本格的な調査はおこなわれていません。photo by Junichi Hirai

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RS:X級の富澤慎と須長由季。風待ち中、お互いに詳細なレースに関する情報を交換し合っていました。photo by Junchi Hirai

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他クラスに先行しておこなわれた49er級FXのスタート。photo by Junichi Hirai

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リオに来るのは昨年のテストイベントに続いて2度目。「RS:Xはレース海面が決まっていて外海ではやりません。でも潮がキツく陸の影響を受ける風で特徴的。レース海面の癖を読み解くのが鍵になる」と須長由季。photo by Junichi Hirai

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RS:X級男子のスタート。photo by Junichi Hirai

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リオに来て3日目に練習中に首を痛め、しばらく動けなかったという富澤 慎。パンピングに力が入らず苦戦していましたが、ようやく首の故障も回復しました。「結果よりも来年に向けてしっかり海面を調査をしたい」(富澤)

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テストイベント期間中も新マリーナの建設工事が進んでいます。リオ五輪セーリング競技のメインとなる建物です。photo by Junichi Hirai

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ブラジルでもニュースになっている五輪海競技の汚染問題。町や下水設備の遅れているファベーラと呼ばれる貧民街から流れ出る生活排水がグアナバラ湾に流れ 込んでいます。水の巡回しないマリーナの奥は特にひどい匂いで、水に浸かりたくありません。しかし、一定の水域を過ぎ、沖に出るにつれで水は澄んでいきま す。出着艇するマリーナ周辺は改善してもらいたいですが、レース海面は支障ないように思えます。photo by Junichi Hirai

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これは海のゴミを拾う専用船。前方についた網でざっくりとゴミを拾い上げます。1日海に出てゴミを拾っていました。「去年に比べたらゴミはかなりなくなり ました。ビニール袋みたいなゴミが浮いていないわけではありませんが、この程度は日本でもあります」(須長)。「ゴミのことはレース中意識していません。 北京五輪の前に大発生していた藻に比べたらマシです」(富澤)。photo by Junichi Hirai

◎ISAF Aquece Rio International Sailing Regatta 2015
http://www.sailing.org/olympics/rio2016/home
◎Aquece Rio
http://www.aquecerio.com/

470級男子 参加22艇
1. USA Stuart Mcnay / David Hughes 6-2-1-(9) 9.0p
2. SWE Anton Dahlberg / Fredrik Bergstrom 2-(11)-4-4 10.0p
3. CRO Sime Fantela / Igor Marenic 3-(7)-7-1 11.0p
9. JPN 土居一斗/今村公彦 11-5-5-(23) 21.0p

470級女子 参加18艇
1. CHN Shasha Chen / Haiyan Gao 1-3-2-(13) 6.0p
2. USA Anne Haeger / Briana Provancha 2-2-3-(6) 7.0p
3. GBR Hannah Mills / Saskia Clark 6-1-(10)-1 8.0p
7. JPN 吉田 愛/吉岡美帆 (19)-10-6-4 20.0p

49er級男子 参加20艇
1. NZL Peter Burling / Blair Tuke 2-6-1-(12)-1-1 11.0p
2. AUT Nico Delle – Karth / Nikolaus Resch 5-2-7-2-4-(11) 20.0p
3. ESP Diego Botin / Iago Lopez Marra 1-4-8-5-(10)-4 22.0p
13. JPN 牧野幸雄/高橋賢次 12-12-11-(14)-8-13 56.0p

49er級FX女子 参加19艇
1. BRA Martine Soffiatti Grael / Kahena Kunze (20)-3-2-2-3-1 11.0p
2. ITA Giulia Conti / Francesca Clapcich 1-2-3-(10)-4-2 12.0p
3. ARG Victoria Travascio / Maria Sol Branz 2-(7)-4-1-5-6 18.0p
18. JPN 松苗幸希/原田小夜子 17-(19)-16-17-11-13 74.0p

レーザーラジアル級女子 参加28艇
1. LTU Gintare Volungeviciute Scheidt (10)-3-8-1-7-1 20.0p
2. USA Paige Railey 13-1-(29)-2-8-3 27.0p
3. GBR Alison Young (21)-14-3-3-14-6 40.0p
14. JPN 土居愛実 1-(21)-16-16-13-17 63.0p

RS:X級男子 参加28艇
1. CHN Aichen Wang 4-1-1-1-2-(5)-1-1 11.0p
2. FRA Pierre Le Coq 1-6-5-3-3-(9)-5-8 31.0p
3. ESP Ivan Pastor Lafuente (29)-3-3-7-4-7-3-5 32.0p
21. JPN 富澤 慎 20-19-19-(25)-20-25-15-16 134.0p

RS:X級女子 参加20艇
1. POL Malgorzata Bialecka 3-2-3-5-4-(8)-4 21.0p
2. FRA Charline Picon 1-7-6-2-11-1-13 28.0p
3. ESP Blanca Manchon 4-4-5-7-2-6-(21) 28.0p
16. JPN 須長由季 17-(20)-10-8-18-15-14 82.0p

 

バルクヘッドマガジンより

http://bulkhead.jp/category/news/


OCEANS WATCHER

小川和幸

気象予報士、オーシャンプロデューサー
出生地 東京都目黒区
居住地 神奈川県茅ケ崎市在住
WATER KIDS JAPAN代表
OCEANS MAGAZINE編集長
特定非営利活動法人EARTH WIND & WAVE CLUB理事長

OCEANSMAGAZINE facebookページhttps://www.facebook.com/pages/Oceansmagazine/1503862653179360

大学では体育会ヨット部に入部し、副将として部員をまとめるとともに、大会では学生選手権大会で優勝し、全日本選手権大会では総合6位入賞という結果をもたらす。
その後、卒業とともにウインドサーフィンの魅力に魅せられ、それ以来、20年以上続ける。また、趣味を仕事にと、マリンスポーツ雑誌の老舗マリン企画へ入社し、ウインドサーフィン専門雑誌であるHi-Windで8年間広告営業として働く。
また、Hi-Wind時代に気象予報士の資格を取得し、世界最大の気象会社ウェザーニューズ社を経て老舗波情報である波伝説(サーフレジェンド社)へ転職して、14年間、海専門の気象予報士として働く。その間には、ラジオやTVで海の気象情報を伝えながら、日本国内におけるWCTやWQS(プロサーフィン世界大会)、プロウインドサーフィン大会、遠泳では湘南オープンウォータースイミング大会などのオフィシャル気象予報士として、マリンスポーツにおける海専門の気象予報のプロとして活躍。

現在は、独立してWATER KIDS JAPANを設立し、海の気象情報アプリ「ISLANDS WATCH」を企画・運営中。
また、特定非営利活動法人「EARTH WIND & WAVE CLUB」も立ち上げ、地元茅ヶ崎や奄美大島にて、その日のコンディションに合わせてマリンスポーツを楽しみながら、子どもから大人までに海の素晴らしさや奥深さを伝えている。

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