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小川和幸info

〈かぎろひ〉レポート。はじめてのオーバーナイト・チャレンジ/バルクヘッドマガジン

2015.06.02

先週末に開催された「第65回大島レース」に出場した〈かぎろひ〉では、「ヤングジェネレーション・ファースト・オーバーナイト・チャレンジ」を実施しま した。このプロジェクトは、若手セーラーにロングレース、オーバーナイトレースを経験させようという企画です。出場した3名からレポートが届きましたの で、ここに紹介します。(BHM編集部)

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はじめてのロングレース、ナイトセーリングを体験した3人。左から市川、山崎、東野。photo by Junichi Hirai

〈かぎろひ〉のプロジェクトに参加の手を上げたのは、今年25歳になる山崎晃(和歌山大出身)、市川航平(早稲田大出身)、東野竜弥(同志社大出 身)の3名です。彼らの学生時代は全日本インカレを目標に活動していたライバル同士。ヨット部を引退後は、クルーザーレースやマッチレースに積極的に出場 するようになりました。

クルーザーレースの世界では、ディンギーでは経験できないことがたくさんあります。そのひとつが、ナイト・セーリングです。まわりに何も見えない 夜の海を走るということは、経験しないと想像できないでしょう。かくいう編集長もはじめてのナイトセーリングしたときの興奮と恐怖感を思い出しました。

さて、はじめてのロングレース、ナイトセーリングを経験した3名は、どんな感想を持ったでしょうか?

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『まるで映画のようなドラマチックなセーリングでした』
山崎 晃

レーススタートからフィニッシュまでを思い返すと、まるで一本の映画のように、様々なドラマやトラブルがありました。大島回航時に流れの速い雲と共にマックス40ノットの風が吹き上がり、所々に竜巻も発生していた光景は忘れられません。

フィニッシュ後、クルーの方々と握手を交わし、安心したのと同時に、強い達成感を味わいました。今後も様々なロングレースに出て、ヨットについてもっと知りたいと感じました。

東野、市川とはレースが終わった後「大変だったけど、とても楽しかったね。」と笑顔で語り合うことができ、若手三人にとって、とても貴重な経験となりました。かぎろひプロジェクト関係者の方々、本当にありがとうございました。

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『あきらめずトラブルに対応するガッツを学びました』
東野竜弥

突如発生する竜巻ブローや、月明かりの下でのセーリング、島を目標とするコース取り。今回のレースで経験したものはどれも新鮮で、エキサイティングなものでした。

私はこれまでインショアのフリートレースや、マッチレースに参加して来ましたが、オーバーナイトは今回が初めて。また初めてのチームということもあり、わくわくが止まらず、1週間前から仕事に手が付きません。

5月30日11時にいよいよスタート。40ft前後の船が一斉に初島を目指します。そこからは、あれよあれよと言う間に、初島を通過し、大島をま わり、葉山沖で、フィニッシュ。時計を見ると、22時12分…。伝統の大島レース初参戦は、幸運にも?日を跨ぐ前でのフィニッシュとなりました。オーバー ナイトは陸に持ち越しです。

今回レースを通じて学んだ事は2つあります。1つは、トラブル対応能力。些細なミスが原因で、艤装の一部が破損し、セーリングに支障が出た場面が ありました。私であれば途中で諦めて、妥協策を考え、最悪はリタイアも検討していたかもしれません。しかし、メンバーは決して諦めることなく、その艤装の 修理にあたりました。

発生してしまった問題に対して、あらん限りの知識と装備を総動員させ、解決すること。セーラーとして凄く大切で、非常に難しいこの対応能力に関し て、今回のレースで一番身に染みて学ぶことができました。結果その修理した艤装に関しては、一時的にしろ、30ノットオーバーの風にも耐え、フィニッシュ まで破損することはありませんでした。

2つ目は、セーリングの奥深さです。今までとは異なる、広い海域でのコース取り。竜巻ブローや、暗い中でのセーリング。ヨットは自然を相手にするスポーツということの意味。改めて自然の凄さや厳しさを知り、セーリングの懐の深さを知ることができました。

今回の経験を糧に、今後も様々なレースに挑戦して参ります。大島レース運営委員会を初めとする運営スタッフの皆様、同じ環境を戦った競技者の皆様。そして、手厚いサポート、素晴らしいセーリングを経験させて頂いたかぎろひメンバーの皆様、誠にありがとうございました。

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『セーリングの魅力が広がった〈かぎろひ〉チャレンジ』
市川航平

18年間のセーリング人生で初めてのナイトレース。今回の〈かぎろひ〉チャレンジは、僕にとって、とても刺激的な3日間でした。レース前日の艇の 回航と準備からチームに携わり、スタートからフィニッシュまでの11時間12分の間、本当に多くのことを経験させていただきました。

ランナー、ヘルム、テーラー、メイントリマーの4つのポジションを経験させていただきましたが、それ以外にもロングディスタンスレースで重要になってくる準備のこと。レース中のセーリングスキルは勿論のこと。

今まで目にしなかったようなトラブルのシューティングの仕方や、食事の摂り方とタイミング、ナイトセーリングでの危険性と注意するポイントなど、 ただ単にヨットを速く走らせるということだけではなく、いかに艇にも人にもストレスのかからない良い環境をみんなで維持するかなど、本当に多くのことを学 びました。

今回の『かぎろひチャレンジ』を通して、まだまだ自分の知らないセーリングの世界や、そういった世界に飛び込まないことには経験することも学ぶこともできないことがたくさんあると気付かされました。

いま僕はマッチレースとフリートレースが主な活動の軸ですが、これからこういった外洋レース、例えばトランスパックやシドニーホバートなど、もっ と多くのロングレースの舞台を経験していきたいと思います。そしてそのためにも、ハードな場面にも対応しうる体づくりと、ロングで必要になってくるスキル を先輩方から吸収していこうと思いました。

これからも僕らのような若手のセーラーが、ディンギーのフリートレースでセーリングを終えてしまうのではなく、キールボートの世界や、ロングレー スの世界に足を踏み入れてくれればと思いますし、こういった僕の経験を通して少しでもこの世界の魅力が伝わればと思います。最後に、かぎろひチームの皆 様、本当にありがとうございました!

バルクヘッドマガジンより

http://bulkhead.jp/category/news/


OCEANS WATCHER

小川和幸

気象予報士、オーシャンプロデューサー
出生地 東京都目黒区
居住地 神奈川県茅ケ崎市在住
WATER KIDS JAPAN代表
OCEANS MAGAZINE編集長
特定非営利活動法人EARTH WIND & WAVE CLUB理事長

OCEANSMAGAZINE facebookページhttps://www.facebook.com/pages/Oceansmagazine/1503862653179360

大学では体育会ヨット部に入部し、副将として部員をまとめるとともに、大会では学生選手権大会で優勝し、全日本選手権大会では総合6位入賞という結果をもたらす。
その後、卒業とともにウインドサーフィンの魅力に魅せられ、それ以来、20年以上続ける。また、趣味を仕事にと、マリンスポーツ雑誌の老舗マリン企画へ入社し、ウインドサーフィン専門雑誌であるHi-Windで8年間広告営業として働く。
また、Hi-Wind時代に気象予報士の資格を取得し、世界最大の気象会社ウェザーニューズ社を経て老舗波情報である波伝説(サーフレジェンド社)へ転職して、14年間、海専門の気象予報士として働く。その間には、ラジオやTVで海の気象情報を伝えながら、日本国内におけるWCTやWQS(プロサーフィン世界大会)、プロウインドサーフィン大会、遠泳では湘南オープンウォータースイミング大会などのオフィシャル気象予報士として、マリンスポーツにおける海専門の気象予報のプロとして活躍。

現在は、独立してWATER KIDS JAPANを設立し、海の気象情報アプリ「ISLANDS WATCH」を企画・運営中。
また、特定非営利活動法人「EARTH WIND & WAVE CLUB」も立ち上げ、地元茅ヶ崎や奄美大島にて、その日のコンディションに合わせてマリンスポーツを楽しみながら、子どもから大人までに海の素晴らしさや奥深さを伝えている。

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