新着ニュース&ブログ

小川和幸info

リオ五輪レーザーラジアル級日本代表、土居愛実インタビュー!/バルクヘッドマガジン

2016.05.11

8月に開催されるリオ五輪まで100日を切りました。過去の流れを振り返ると、五輪直前になって右肩上がりに急成長する選手が登場します。五輪本 番のキーパーソン、台風の目となる選手です。レーザーラジアル級代表の土居愛実選手も、「急成長組」のひとりといえるでしょう。11月世界選手権8位、2 月ヨーロッパ選手権7位、4月世界選手権9位。このところ主要国際大会でトップ10入りを果たしているのです。BHM編集長が土居愛実選手をインタビュー しました。(BHM編集部)

4J5A8989
土居愛実。1993年8月29日生まれ。横浜市出身。慶応大・環境情報学部在学。兄・一斗(リオ五輪470級代表)の影響で小学2年から横浜ジュニアで セーリングをはじめ、2007年別府OP級全日本選手権で総合3位、ユースでラジアルに転向し数々の国際大会に出場。2012年ロンドン五輪代表(31 位)。2013年ISAFワールドテストイベント1位、2014年デルタロイドレガッタ3位、仁川アジア大会2位。特技はダンス、ピアノ

◎ただいま急成長中。「8月リオ五輪まで、まだまだ上がります!」

BHM編集長:今年に入ってから五輪本番まで、ものすごい過密スケジュールを組んでいますね。オーストラリアにはじまり、スペイン、リオ、メキシコ、これからリオ、オランダ、イギリス、リオ…。日本チームのなかで一番ハードかもしれません。

土居愛実:オリンピックが終わった時、ヨットが嫌いになっているぐらいに練習したい(笑)。いま、成績があがっているので、レースに出るのがたのしいし、五輪までまだまだ成長すると思っています。いま、モチベーション高いです。

BHM編集長:トップグループで戦うことに手応えを感じている?

土居愛実:はい、あります。誰よりも練習をしてきている実感があるし、誰よりも成長していると思う。リオでメダルを取りたい、という気持ちが強くなっています。この後の数カ月でどこまで上がって行けるのか、たのしみです。

BHM編集長:ロンドン五輪に出場した時といまでは、自身のセーリングやヨットレースに対する考え方は、どのように変わりましたか?

土居愛実:ロンドンの時は、ユースからあがってきて直前の世界選手権で代表になって、すぐに本番だったから、世界で誰が強いのか、どんな雰囲気の レースなのか、全く分からなかった。当時は「やるしかない」という気持ち。いまは、まわりの選手や自分の成績も分かるし、「いまこれを克服したら、もう少 し前に行ける」というのもわかる。早くレースに出て、ここも、あれも直したいと思っています。

BHM編集長:いま土居選手は、アーサー・コーチ(アーサー・ブレッド氏)とふたりで行動することが多く、日本人のサポートはだれもいません。海外遠征が続いていますが、そうした生活には慣れましたか?

土居愛実:うーん、、、ダメです。出発前になると熱を出したりするし、去年の世界選手権でも4日間、3月の遠征前にも寝込んでしまった。ひとりで遠 征に行くこと(以前は怖かった)には慣れたけれど、ストレスは貯まりますね。ただ、これも試練だと思っています。こういう状況は、必ずあるものだから。

7Z7A3847
ボートスピードのアップが安定した成績につながっているという土居愛実。リオの海面は「もちろん風も重要ですが、それよりも潮の影響が強いですね」とのこと。photo by Junichi Hirai

◎オランダとの練習でつかんだダウンウインドの技術と自信

BHM編集部:普段はどんな練習をしていますか? たとえば、リオの現地合宿や大会前のトレーニングなどで。

土居愛実:リオでは海面調査が主です。オランダのマリット(マリット・ボウミスタ。ロンドン五輪銀メダル)と一緒に練習していて、いくつかのレース海面に行ってコース練習をします。リオは強い潮が転流するので、その辺の見極めが重要だと考えています。

BHM編集部:世界のトップセーラーであり、リオ五輪金メダル候補のマリットと練習できる機会は、そうあるものではありません。どうして、一緒に練習することになったんですか?

土居愛実:わたしは軽風のボートスピードが良く、彼女にとって軽風を走る時の良い相手なんだと思います。わたしにとって最高の環境で、マリットの技術を盗んでいます。彼女と練習するようになって一段階成長しました。

BHM編集部:成長した部分というのは、具体的にどんな部分ですか?

土居愛実:ひとつはダウンウインドです。カラダの使い方、波の乗せ方、セールトリム、ポジショニング、コース等いろいろありますが、後ろを走ってい て彼女の動きを目で見ることが勉強になる。抜かれたらよ〜く見て技を盗む(笑)。それと、コースやタクティクスが安定してきたことが、成績につながってい ると思います。

BHM編集部:練習中はビデオを撮って動作確認しているのでしょうか?

土居愛実:いえ、ビデオは撮りません。マリットが神経質なほどビデオに撮られるのを嫌っていて、ほかの選手が練習に加わるときは、ダウンウインドに 入ると手を抜くというか、わざと遅れて走ったりする。自身のセーリングは絶対に撮影させません。その辺は、かなりシビアになっていますね。

BHM編集部:オリンピックが近づいてきて、クローズドな練習が目立ってきていますね。470でも同じようなことがあるけれど、(チャーター艇でお こなわれる)レーザー級は道具を隠す必要はなく、選手の動作が最大の武器になります。動きを隠すというのも興味深いです。もっとも他の艇種でも、ライバル 同士が一緒にトレーニングすることはありえないけれども。

土居愛実:今年はヨーロッパの大会と、リオ現地、それにメキシコの世界選手権があり、それぞれ場所が遠いので、選手は自身の目的に合わせて大会を選 んで出場しています。だから、全員が同一場所で活動することはなく、他国の選手がどこでどんな活動をしているのか、わからない部分もある。

BHM編集部:すでに五輪の戦いは始まっているんですね。各選手、情報を隠すことが心理戦になる、という。いま土居選手が課題にしていることは、どんなことですか?

土居愛実:トップ10に入るようになってきたけれど、メダルを争うためには、もうひとつ壁があります。そこで戦えるようになりたいです。いまも強風が課題で、体重をあと1キロ増やしたい。これがむずかしいんですけれど…。

BHM編集部:土居選手はリオ五輪だけでなく東京も視野に入れて活動していますが、どんなビジョンを思い描いているんでしょうか?

土居愛実:自分の国で、それも自分がピークの年齢(2020年は27歳)の時に開催されるなんて、信じられないことです。東京五輪で金メダルを取って、応援してくれている方々に良いところを見てもらいたいですね。もちろんリオでも金メダルが目標です!

BHM編集部:この1年の成長ぶりを見ていると、無理なことではないように思います。土居選手、ありがとうございました。

7Z7A9873
揃ってリオ五輪に出場する土居兄妹。練習計画が異なるため兄妹が出会う機会は多くありませんが、仲の良い兄妹です。性格は違うけれど、編集長が撮影した写真をチェックしたがるところはそっくり。photo by Junichi Hirai

 

バルクヘッドマガジンより

http://bulkhead.jp/%E3%83%AA%E3%82%AA%E4%BA%94%E8%BC%AA%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%AB%E7%B4%9A%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E3%80%81%E5%9C%9F%E5%B1%85%E6%84%9B%E5%AE%9F/


OCEANS WATCHER

小川和幸

気象予報士、オーシャンプロデューサー
出生地 東京都目黒区
居住地 神奈川県茅ケ崎市在住
WATER KIDS JAPAN代表
OCEANS MAGAZINE編集長
特定非営利活動法人EARTH WIND & WAVE CLUB理事長

OCEANSMAGAZINE facebookページhttps://www.facebook.com/pages/Oceansmagazine/1503862653179360

大学では体育会ヨット部に入部し、副将として部員をまとめるとともに、大会では学生選手権大会で優勝し、全日本選手権大会では総合6位入賞という結果をもたらす。
その後、卒業とともにウインドサーフィンの魅力に魅せられ、それ以来、20年以上続ける。また、趣味を仕事にと、マリンスポーツ雑誌の老舗マリン企画へ入社し、ウインドサーフィン専門雑誌であるHi-Windで8年間広告営業として働く。
また、Hi-Wind時代に気象予報士の資格を取得し、世界最大の気象会社ウェザーニューズ社を経て老舗波情報である波伝説(サーフレジェンド社)へ転職して、14年間、海専門の気象予報士として働く。その間には、ラジオやTVで海の気象情報を伝えながら、日本国内におけるWCTやWQS(プロサーフィン世界大会)、プロウインドサーフィン大会、遠泳では湘南オープンウォータースイミング大会などのオフィシャル気象予報士として、マリンスポーツにおける海専門の気象予報のプロとして活躍。

現在は、独立してWATER KIDS JAPANを設立し、海の気象情報アプリ「ISLANDS WATCH」を企画・運営中。
また、特定非営利活動法人「EARTH WIND & WAVE CLUB」も立ち上げ、地元茅ヶ崎や奄美大島にて、その日のコンディションに合わせてマリンスポーツを楽しみながら、子どもから大人までに海の素晴らしさや奥深さを伝えている。

PageTop