小川和幸info
市野/長谷川、連続シングルで総合9位へ。ワールドカップ・イエール2日目!/バルクヘッドマガジン
2016.04.29
4月28日、フランスで開催されている「セーリングワールドカップ・イエール」2日目は、朝から風弱く長時間の風待ちではじまりました。この大会 では、6つのレース海面が用意され、五輪10種目、パラリンピック2種目(2.4mR級、ソナー級)がおこなわれています。(BHM編集部)
3-4位で総合9位に上がった市野直毅/長谷川孝。フィニッシュ時、思わず笑みがこぼれます。photo by Junichi Hirai
主なレース海面では、前半組、後半組に分かれるため、風待ちの時間は、そのまま終了時間が遅くなることを意味します。うれしくも悲しくも、イエールの日没は夜8時半。この時間までレースすることはまれですが、大会2日目は午後7時近くまでレースがおこなわれました。
本日の注目は、午後3時半からおこなわれた470級男子の市野直毅/長谷川孝です。微風から徐々に風があがってくるなかでおこなわれた第3レース では、右展開する中でも位置取りよく上マークを3位で回航。そのままの順位をキープして3位フィニッシュ。風がフルパワーまで上がった第4レースでは、な んと上マークをトップ回航。フィニッシュ順位は4位に落としましたが、本日3-4位で総合9位まであがりました。
「スタートを上手く出て、いい風をつかめました。最近、ボートスピードがあがってきています。きょうは出来過ぎの内容でした。目標は10番台を平均 して取れるようになること。そして、20番台を取るような失敗レースをなくすことです。目標は東京五輪なので、一歩づつ成長していきたいと思っています」 (市野直毅)
「ワールドカップでトップ回航するのは、はじめて。でも、いつも練習しているチームがまわりにいるので、それほど違和感なくレースができました。こういうレースをしていきたいですね」(長谷川孝)
編集長がこれまでセーリングワールドカップ・イエールを取材していて、連続シングルを取る男子を久々に見る気がします。市野/長谷川は、普段、ク ロアチア、フランス、スペイン等のリオ五輪代表チーム(ザオリセールのグループ)に加わり、日本の枠を飛び出してトレーニングする中で、着実に力をつけて きました。以前にも書きましたが、彼らのような雑草根性で五輪活動している470チームは、いまの日本に存在しません。
当然ながら最低限の資金で活動していて、市野は今年4月から所属が完全になくなり、この大会も自費遠征とのこと。艇の運搬や移動を海外チームと行 動(宿泊、移動する車も一緒)することで、コスト削減につとめています。資金不足の不安定な活動は明白ですが、彼らの場合、いまに始まったことではなく、 特に関西学院大を卒業してから、オリンピックを目標に突き進んでいる市野の継続力は「あっぱれ」としか言いようがありません。
海外チームの輪に加わるという、日本ではマイノリティーといえる彼らの活動が、今後成績につながっていくとしたら、日本のセーリング意識も変わっていくような気がします。
市野/長谷川のよき協力チームでもあるクロアチア。2016年度のワールドチャンプです。現在2位。photo by Junichi Hirai
狙うは金メダルのみ。470王者、マット・ベルチャー/ウィル・ライアン。photo by Junichi Hirai
軽風となった大会2日目。曇っていた空は晴れて、午後には青空の下、10ノットまで風が上がりました。photo by Junichi Hirai
大会初日はドライスーツが破れてしまい体力を消耗してしまった吉田愛。2日目はシフトの読みが裏目に出てしまい現在22位。photo by Junichi Hirai
猛スピードで走り抜けるナクラ17。photo by Junichi Hirai
これまで4回開催されたナクラ17世界選手権で4連覇しているフランス。photo by Junichi Hirai
レーザーラジアル級のスタート。photo by Junichi Hirai
先週おこなわれたメキシコワールドから連続する選手も多くいます。写真手前のデンマークは昨年ワールド優勝、メキシコワールド3位。急成長している選手です。photo by Junichi Hirai
ソフトバンクチームジャパンに加入したジェイソン・ウォーターハウス(AUS)。現在7位。昨年8月におこなわれたリオ五輪テストイベントの優勝チームです。photo by Junichi Hirai
セーリングワールドカップ・イエール 大会2日目成績
470男子 参加39艇
1. AUS Mathew Belcher / William Ryan 4.00p
2. CRO Sime Fantela / Igor Marenic 7.00p
3. TUR Deniz Cinar / Ates Cinar 12.00p
9. JPN 市野直毅/長谷川孝 27.00p
470女子 参加34艇
1. GBR Hannah Mills / Saskia Clark 9.00p
2. NZL Jo Aleh / Polly Powrie 9.00p
3. FRA Camille Lecointre / Helene Defrance 11.00p
22. JPN 吉田 愛/吉岡美帆 55.00p
49er 参加40艇
1. NZL Peter Burling / Blair Tuke 14.00p
2. AUS William Phillips / Sam Phillips 17.00p
3. DEN Jonas Warrer / Christian Peter Lubeck 38.00p
27 JPN 牧野幸雄/高橋賢次 118.00p
RS:X男子 参加40艇
1. POL Pawel Tarnowski 22.00p
2. GBR Nick Dempsey 27.00p
3. FRA Pierre Le Coq 28.00p
16. JPN 富澤 慎 71.00p
RS:X女子 参加40艇
1. POL Zofia Noceti-Klepacka 19.00p
2. GBR Bryony Shaw 21.00p
3. ESP Marina Alabau Neira 31.00p
31. JPN 伊勢田愛 125.00p
バルクヘッドマガジンより
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OCEANS WATCHER
小川和幸
気象予報士、オーシャンプロデューサー
出生地 東京都目黒区
居住地 神奈川県茅ケ崎市在住
WATER KIDS JAPAN代表
OCEANS MAGAZINE編集長
特定非営利活動法人EARTH WIND & WAVE CLUB理事長
OCEANSMAGAZINE facebookページhttps://www.facebook.com/pages/Oceansmagazine/1503862653179360
大学では体育会ヨット部に入部し、副将として部員をまとめるとともに、大会では学生選手権大会で優勝し、全日本選手権大会では総合6位入賞という結果をもたらす。
その後、卒業とともにウインドサーフィンの魅力に魅せられ、それ以来、20年以上続ける。また、趣味を仕事にと、マリンスポーツ雑誌の老舗マリン企画へ入社し、ウインドサーフィン専門雑誌であるHi-Windで8年間広告営業として働く。
また、Hi-Wind時代に気象予報士の資格を取得し、世界最大の気象会社ウェザーニューズ社を経て老舗波情報である波伝説(サーフレジェンド社)へ転職して、14年間、海専門の気象予報士として働く。その間には、ラジオやTVで海の気象情報を伝えながら、日本国内におけるWCTやWQS(プロサーフィン世界大会)、プロウインドサーフィン大会、遠泳では湘南オープンウォータースイミング大会などのオフィシャル気象予報士として、マリンスポーツにおける海専門の気象予報のプロとして活躍。
現在は、独立してWATER KIDS JAPANを設立し、海の気象情報アプリ「ISLANDS WATCH」を企画・運営中。
また、特定非営利活動法人「EARTH WIND & WAVE CLUB」も立ち上げ、地元茅ヶ崎や奄美大島にて、その日のコンディションに合わせてマリンスポーツを楽しみながら、子どもから大人までに海の素晴らしさや奥深さを伝えている。