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男子クロアチア、女子フランス優勝。アルゼンチン470級世界選手権最終日/バルクヘッドマガジン

2016.02.28

2月27日、アルゼンチン470級世界選手権最終日。気持ちの良い青空が広がったブエノスアイレス沖。ワールド最終日は土曜日とあって、(水草を よけながらも)たくさんのセールボートが走っています。日本の初夏のような快適な気温とほどよい風が吹く、メダルレースに相応しいコンディションとなりま した。(BHM編集部)

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男女入賞者一同。成績表の間違いの一件で、閉会セレモニーの開始時間が大幅に遅れました。photo by Junichi Hirai

今年の470級世界選手権では、女子、男子とも新しい世界チャンピオンが誕生しました。男子のクロアチアは2009年に続いて2度目の優勝。第1 レースの失格(UFD)から立ち直り、シングルスコアを並べ会心の勝利を決めました。2位は前半戦で圧倒的な走りを見せたニュージーランド、7連覇が期待 されたオーストラリアは(初日の地獄から這い上がり)3位となりました。

また、フランスも銅メダルを獲得です。実は、メダルレース後の発表ではフランスが3位となっていましたが、成績が発表されてかなり時間が経った後 に第5レースに得点ミスがあったことが発覚。ポイント上では4位になりますが。同国内で代表選考が関係しているフランスにはシビアな状況となり、揉めに揉 めて、審問の結果、2チームが銅メダル獲得という結果になりました。

また、女子はフランス女子が逃げ切り初優勝。2位にオーストリア、3位はニュージーランドです。男女とも世界のトップは、かなり絞られている印象 です。これからリオ五輪まで何度かの国際大会がおこなわれますが、今回の特別だった「レース海面の状況」を差し引いたとしても、五輪本番の上位の顔ぶれは 浮かんできます。

男子は、オーストラリア、クロアチア、イギリスが現時点でのメダル候補御三家といえます。そこにクルー変更後、急成長を遂げたアメリカが加わり、 次点でニュージーランド、フランスの若手組、さらに実力派のギリシアが入る構図です。日本男子の現時点の実力は、この上位グループに入るにまで至っていま せん。

一方、女子の実力はかなり拮抗しているといえます。女子は、コンディションに左右されるチームが多いのが特長で、リオ五輪本番までだれが飛び抜け てくるのか分かりません。今回の上位3チームに加えて、アメリカ、イギリス、日本も上位グループに入るでしょう。さらに、ライトコンディションに限定する なら、中国女子も力があります。リオの海面を考えると中国をメダル候補に入れてもおかしくありません。

470級の選手は、リオ五輪まで数回の国際大会に出場し、手合わせをすることになります。それらの結果を参考にしながら、切磋琢磨する各国の選手、そして日本チームの成長に注目したいと思います。次回、470級世界選手権は2017年にギリシアで開催されます。

アルゼンチン470級世界選手権 最終成績
女子 参加39艇
1. FRA Camille Lecointre / Helene Defrance 54p
2. NZL Jo Aleh / Polly Powrie 57p
3. AUT Lara Vadlau / Jolanta Ogar 62p
4. BRA Fernanda Oliveira / Ana Luiza Barbachan 66p
5. POL Agnieszka Skrzypulec / Irmina Mrozek Gliszczynska 69p
6. USA Anne Haeger / Briana Provancha 72p
7. CHN Xiaoli Wang / Lizhu Huang 74p
8. USA Sydney Bolger / Carly Shevitz 83p
9. NED Afrodite Zegers-Kyranakou / Anneloes Van Veen 90p
10. ESP Barbara Cornudella Ravetllat / Sara Lopez Ravetllat 91p
11. 吉田 愛/吉岡美帆 93p
31. 山口祥世/畑山絵里 201p

男子 参加42艇
1. CRO Sime Fantela / Igor Marenic 52p
2. NZL Paul Snow-Hansen / Daniel Willcox 58p
3. AUS Mathew Belcher / William Ryan 66p
4. FRA Sofian Bouvet / Jeremie Mion 67p
5. GBR Luke Patience / Chris Grube 100p
6. ITA Gabrio Zandona / Andrea Trani 106p
7. GER Ferdinand Gerz / Oliver Szymaski 109p
8. GRE Panagiotis Mantis / Pavlos Kagialis 112p
9. SWE Anton Dahlberg / Fredrik Bergstrom 116p
10. ESP Onan Barreiros Rodriguez / Juan Curbelo Cabrera 123p
27. 土居一斗/今村公彦 194p

◎大会写真集(バルクヘッドマガジン・フェイスブック)
https://www.facebook.com/bulkheader/
◎ARGENTINA 470 Championships
http://2016worlds.470.org/

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男子のメダルレースは、実に見ごたえのある内容でした。第1上マークでニュージーランドが出遅れましたが、右海面のブローでトップまで一気に走り抜けたのは、メダルレースならではのおもしろさといえます。photo by Junichi Hirai

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順位がめまぐるしく変わるメダルレースは観戦者を白熱させるに十分。しかし、このおもしろさを伝える「術」をワールドセーリングや国際470クラス協会が 持っていないことは、(もちろん努力しているのを知っていますが)残念に思います。photo by Junichi Hirai

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男子メダルレーススタート直後。スペインがラダーに絡んだ水草を投げ捨てているのが分かります。地元のセーラーも「こんなことは、はじめてだ」というほどの珍しい世界選手権となりました。photo by Junichi Hirai

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アルゼンチンはOP級の強豪国です。未来の子どもたちがメダルレースを観戦にやってきました。photo by Junichi Hirai

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女子優勝のフランス。前週の南米選手権でダントツの優勝。本ワールドでもオールラウンドで安定した成績を残しました。photo by Junichi Hirai

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優勝を決めたクロアチア。「(2度目の)優勝まで長かったー」とスキッパーのシメ・ファンテラ。photo by Junichi Hirai

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ブエノスアイレスには古い船や美しいウッドンボートが現役で走っています。日本のものより古い船ばかりですが、修理しながら丁寧に乗られています。こんな船でヨットレースを優雅に観戦したいですね。photo by Junichi Hirai

 

バルクヘッドマガジンより

http://bulkhead.jp/%E7%94%B7%E5%AD%90%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A2%E3%83%81%E3%82%A2%E3%80%81%E5%A5%B3%E5%AD%90%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E5%84%AA%E5%8B%9D%E3%80%82%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%81/


OCEANS WATCHER

小川和幸

気象予報士、オーシャンプロデューサー
出生地 東京都目黒区
居住地 神奈川県茅ケ崎市在住
WATER KIDS JAPAN代表
OCEANS MAGAZINE編集長
特定非営利活動法人EARTH WIND & WAVE CLUB理事長

OCEANSMAGAZINE facebookページhttps://www.facebook.com/pages/Oceansmagazine/1503862653179360

大学では体育会ヨット部に入部し、副将として部員をまとめるとともに、大会では学生選手権大会で優勝し、全日本選手権大会では総合6位入賞という結果をもたらす。
その後、卒業とともにウインドサーフィンの魅力に魅せられ、それ以来、20年以上続ける。また、趣味を仕事にと、マリンスポーツ雑誌の老舗マリン企画へ入社し、ウインドサーフィン専門雑誌であるHi-Windで8年間広告営業として働く。
また、Hi-Wind時代に気象予報士の資格を取得し、世界最大の気象会社ウェザーニューズ社を経て老舗波情報である波伝説(サーフレジェンド社)へ転職して、14年間、海専門の気象予報士として働く。その間には、ラジオやTVで海の気象情報を伝えながら、日本国内におけるWCTやWQS(プロサーフィン世界大会)、プロウインドサーフィン大会、遠泳では湘南オープンウォータースイミング大会などのオフィシャル気象予報士として、マリンスポーツにおける海専門の気象予報のプロとして活躍。

現在は、独立してWATER KIDS JAPANを設立し、海の気象情報アプリ「ISLANDS WATCH」を企画・運営中。
また、特定非営利活動法人「EARTH WIND & WAVE CLUB」も立ち上げ、地元茅ヶ崎や奄美大島にて、その日のコンディションに合わせてマリンスポーツを楽しみながら、子どもから大人までに海の素晴らしさや奥深さを伝えている。

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