小川和幸info
リオ五輪テストイベント2日目/バルクヘッドマガジン
2015.08.17
8月16日、リオ五輪テストイベント2日目からは、オリンピック・セーリング競技全10種目がはじまりました。日本チームは、昨日のレーザーラジ アル級、RS:X級男女に加えて、470級男女、49er級、49er級FXに出場します。リオデジャネイロは朝から快晴。気持ちのよい乾いた風が吹いて います。(BHM編集部)
日没迫る夕焼けの中でおこなわれた49er級。リオデジャネイロの日没は5時40分です。photo by Junichi Hirai
リオ五輪では6海面が予定され、湾内から湾外まで広い範囲がレース海面になります。海面ごとに転流する潮や陸の影響を受けて、コースの特長がある ようです。特に湾内中央の潮は強く、水が沸騰したようにみえる部分もあります。軽風も手伝って順位の変動は大きく、タクティクスの能力が必要とされます。 テストイベントのレース海面は、クラスごとに日替わりでおこなわれます。
このテストイベントに出場する選手は、各国のトップ選手だけが出場しています(昨年のテストイベントは1カ国1チームに限定されませんでした)。 この点は、ISAFワールドカップや世界選手権と大きく異る部分で、少数精鋭ゆえに上位下位の振り分け予選はなく、規定のフリートレースを消化し、最終日 にメダルレースがおこなわれるという流れになります。
本日が初日となる470級男子は、土居一斗/今村公彦(チームアビーム)が総合8位につけ好発進しました。7月のヨーロッパ選手権で日本代表に決 まった土居/今村は、いままで通りオーストラリアチームをセーリングパートナーに活動をともにしています。そのオーストラリア、ベルチャー/ライアンが初 日トップに。女子の吉田 愛/吉岡美帆(ベネッセセーリングチーム)は、第1レースをUFD(リコール)で失格となり総合14位と出遅れました。
また、チーム結成1年未満にも関わらず、6月江の島オリンピックウィークでテストイベントの出場権を獲得した49er級FXの松苗幸希/原田小夜 子(ガルフネット)は、7月にポルトガルで開催されたヨーロッパ選手権に続く海外遠征第2弾。このフリートのなかで実力が劣るのは承知ですが、1レース1 レースが経験を積む貴重な経験につながっています。
大会2日目は6つの海面で、淡々とレースが進行しましたが、49er級FXのあとにおこなわれた49er級は風が安定せず、日没までかかって2 レースを実施。予定されていた3レース目はおこなわれませんでしたが、日本の牧野幸雄/高橋賢次(トヨタ自動車東日本)は13位で明日大会3日目へ進みま す。
マリーナ内は出店が1件あるだけ。即席マリーナの雰囲気をひしひしと感じられます。photo by Junichi Hirai
マリーナ中央には昨年まであった建物が取り壊されています。来年春先までに新設されるようで現在工事中です。photo by Junichi Hirai
レース海面を爆走する水上バイクが!実はこの方、海上警備の方で、わざわざメディアボートに近寄ってきて船検証(?登録証書)のようなものを提示させられました。photo by Junichi Hirai
各マークにはGPS末端が取り付けられていますが、トラッキングデータが公開されているわけではありません。photo by Junichi Hirai
49er級FXの松苗幸希/原田小夜子。photo by Junichi Hirai
セーリング競技で最も参加艇を集めるのは、。日本で人気の470級ではなくレーザー級です。本大会では38カ国。本番では46カ国が出場します。激戦のレーザー級は、クロアチアが逆転首位に立ちました。photo by Junichi Hirai
ナクラ17級。日本で1チーム活動していますが、テストイベントには出場していません。photo by Junichi Hirai
日本選手は活動していないフィン級。アジアから中国(Lei Gong)だけが出場しています。photo by Junichi Hirai
フィニッシュ後ガッツポーズのPieter-Jan Postma(NED)。初日1-2位で絶好調でした。photo by Junichi Hirai
波立っているのは、風の影響ではなく潮がぶつかってできたもの。湾内中央では非常に強い潮があります。photo by Junichi Hirai
49e級には2人のアメリカズカップのヘルムスマンが出場しています。ひとりはアルテミスレーシングのネイサン・アウタリッジ(AUS)。photo by Junichi Hirai
もうひとりはエミレーツ・チームニュージーランドのピーター・バーリング(NZL)。2016年はオリンピックで対決し、2017年はアメリカズカップで対決することになります。photo by Junichi Hirai
49er級の牧野幸雄/高橋賢次。6月に足を骨折してリハビリを続けていた牧野は久々のレースになります。photo by Junichi Hirai
レース海面を警備するブラジル海軍。photo by Junichi Hirai
レース時間は一般の船、貨物船の入港も制限されています。橋の外では貨物船が入港待ち。photo by Junichi Hirai
シュガーロックを背景に走る49erフリート。photo by Junichi Hirai
背景に山があり、キリスト像のシンボルマークがあり、ビルがあり、旧市街があり。リオはフォトジェニックなレース海面です。photo by Junichi Hirai
◎ISAF Aquece Rio International Sailing Regatta 2015
http://www.sailing.org/olympics/rio2016/home
◎Aquece Rio
http://www.aquecerio.com/
470級男子 参加8艇
1. AUS Mathew Belcher / William Ryan 1-6 7.0p
2. USA Stuart Mcnay / David Hughes 6-2 8.0p
3. FRA Sofian Bouvet / Jeremie Mion 5-3 8.0p
8. JPN 土居一斗/今村公彦 11-5 16p
470級女子 参加18艇
1. CHN Shasha Chen / Haiyan Gao 1-3 4.0p
2. USA Anne Haeger / Briana Provancha 2-2 4.0p
3. GBR Hannah Mills / Saskia Clark 6-1 7.0p
14. JPN 吉田 愛/吉岡美帆 19-10 29p
49er級 参加20艇
1. ESP Diego Botin / Iago Lopez Marra 1-4 5.0p
2. AUT Nico Delle – Karth / Nikolaus Resch 5-2 7.0p
3. NZL Peter Burling / Blair Tuke 2-6 8.0p
13. JPN 牧野幸雄/高橋賢次 12-12 24p
49er級FX 参加19艇
1. ITA Giulia Conti / Francesca Clapcich 1-2-(3) 3.0p
2. NZL Alexandra Maloney / Molly Meech 3-1-(15) 4.0p
3. BRA Martine Soffiatti Grael / Kahena Kunze (20)-3-2 5.0p
18. JPN 松苗幸希/原田小夜子 17-(19)-16 33.0p
レーザーラジアル級 参加28艇
1. LTU Gintare Volungeviciute Scheidt (10)-3-8-1 12.0p
2. USA Paige Railey 13-1-(29)-2 16.0p
3. CZE Veronika Kozelska Fenclova 8-2-7-(10) 17.0p
15. JPN 土居愛実 1-(21)-16-16 33.0p
RS:X級男子 参加28艇
1. CHN Aichen Wang 4-1-1-1-2-(5) 9.0p
2. FRA Pierre Le Coq 1-6-5-3-3-(9) 18.0p
3. GRE Byron Kokkalanis 7-(17)-6-2-6-1 22.0p
23. JPN 富澤 慎 20-19-19-(25)-19-25 102.0p
RS:X級女子 参加20艇
1. FRA Charline Picon 1-7-6-2-(11)-1 17.0p
2. POL Malgorzata Bialecka 3-2-3-6-4-(8) 18.0p
3. ESP Blanca Manchon 4-4-5-(8)-2-6 21.0p
15. JPN 須長由季 17-(20)-10-9-18-15 69.0p
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OCEANS WATCHER
小川和幸
気象予報士、オーシャンプロデューサー
出生地 東京都目黒区
居住地 神奈川県茅ケ崎市在住
WATER KIDS JAPAN代表
OCEANS MAGAZINE編集長
特定非営利活動法人EARTH WIND & WAVE CLUB理事長
OCEANSMAGAZINE facebookページhttps://www.facebook.com/pages/Oceansmagazine/1503862653179360
大学では体育会ヨット部に入部し、副将として部員をまとめるとともに、大会では学生選手権大会で優勝し、全日本選手権大会では総合6位入賞という結果をもたらす。
その後、卒業とともにウインドサーフィンの魅力に魅せられ、それ以来、20年以上続ける。また、趣味を仕事にと、マリンスポーツ雑誌の老舗マリン企画へ入社し、ウインドサーフィン専門雑誌であるHi-Windで8年間広告営業として働く。
また、Hi-Wind時代に気象予報士の資格を取得し、世界最大の気象会社ウェザーニューズ社を経て老舗波情報である波伝説(サーフレジェンド社)へ転職して、14年間、海専門の気象予報士として働く。その間には、ラジオやTVで海の気象情報を伝えながら、日本国内におけるWCTやWQS(プロサーフィン世界大会)、プロウインドサーフィン大会、遠泳では湘南オープンウォータースイミング大会などのオフィシャル気象予報士として、マリンスポーツにおける海専門の気象予報のプロとして活躍。
現在は、独立してWATER KIDS JAPANを設立し、海の気象情報アプリ「ISLANDS WATCH」を企画・運営中。
また、特定非営利活動法人「EARTH WIND & WAVE CLUB」も立ち上げ、地元茅ヶ崎や奄美大島にて、その日のコンディションに合わせてマリンスポーツを楽しみながら、子どもから大人までに海の素晴らしさや奥深さを伝えている。