フィジーで開催された、第4回ISA世界選手権を終え帰国しました。今年最後のレースとなった今大会、自分自身の意気込みとしては一年間積み上げてきたことを発揮して来年に繋げるレースをすることでした。ISAの世界選手権は各種目で国の代表が出場し、個人の競技で競い合い、チームとして全種目の総合点で国別団体順位を付けるオリンピックに近い大会です。男子の種目は各国から2名、女子の種目は各国1名選手枠が与えられます。ISAが動いたおかげで2020からサーフィンが正式のオリンピック種目になり、2024にはISAがSUPのレースをオリンピック種目に追加されるよう力を入れているせいか今年は歴代最多の26カ国が参戦しました。
今回日本人チームは歴代最多人数の8名。SUPサーフィンから男子2人、女子1人。プローンパドルの男子2人、女子1人。そしてSUPレースは男子が1人、女子1人と男子SUPレースの枠に欠員がある状態で挑みました。チームとして大会前に決めた目標が10位以内。10位以内になれば来年の世界大会で高いシード権を得ることができ、全種目で有利になれるからです。
自分自身の出場種目は3kmテクニカルレース、17kmディスタンスレース、200mスプリントとチームリレー。
<3kmテクニカルレース・11位>
大会最初の種目となったのは3kmのテクニカルレース。4つのセミファイナルヒートに分かれ、上位4人が決勝に進み16人での決勝。前年の国別対抗の順位が低かったため、予選で一番ハードな第4ヒートとなりました。自分より世界ランキングが上の選手が4人いる中、緊張感が高まる予選となりました。大会開催地は有名なクラウドブレーク。波は小さかったですが、風もかなり強くあれたコンディションの中のテクニカルレースとなりました。
予選はいいスタートを切ることが出来て、4位通過で決勝進出。決勝への自信へ繋がりました。
決勝は予想どおりハイレベルのレースとなりました。自分自身ベストを尽くすことが出来ましたが来シーズンの課題となっている細かいところで順位を下げてしまい、最終的には11位と表彰台争いに入り込めない悔しいレースとなりました。前年のメキシコ世界選手権の時の順位が21位だったと考えると1年半でかなり前進することが出来ましたが、今年一年通して自分が磨く必要があると思ったテクニカルレースはまだまだ成長の余地があると感じました。
<17kmディスタンスレース・8位>
テクニカルレース翌日には17kmのディスタンスレースが開催されました。コースはクラウドブレイクをスタートし、タバルア、ナモツの間を通り、マスケットコーブというリゾート地にゴールするワン・ウェイ。当日風は吹かなかったですが日差しが強く30度を超える炎天下の中のレースとなりました。スタートの合図が曖昧で、出遅れてしまい300メートル先の最初の部位で混雑に挟まれてしまいました。ここでジェイムズの板が僕とリーシュの間を抜けてきて二人のリーシュが絡まってしまいました。リーシュを外しても解けず、板から降りてリーシュを板から外した時には最下位。トップ集団とはかなりの差が開いてしまいました。自分の中ではトップ集団に入り、レース終盤までスマートなレース運びをするつもりだったのでまさかの事態でした。ここからはかなりハードに漕ぎ一人一人後ろから抜き、1時間半が経過した頃には第2集団に追いつきました。第2集団に追いつくまではずっと一人旅だったのでここで20分ほど体を休め、先頭集団を追うことに。ただ先頭集団も世界トップ選手なのでそう簡単に追いつくことができず、最終的には8位でフィニッシュ。
今年はディスタンスレースではモロカイ、鳥取、香港、ジャパンカップなどで好成績を残し自信もあったため、スタートのアクシデントや表彰台に立てなかったことが悔やまれます。ただ最下位から8位まで追い上げ、去年のメキシコでの13位を大きく上回ることができたことは嬉しく思います。
<国別対抗リレー>
今まではプローンの選手がいなかったり、SUPレースの選手がいなかったりと出場することができなかったので今回が日本チームとして初出場となったチームリレー。このチームリレーは男子プローンの小林海、女子SUPの横山貴代、女子プローンの伊藤真央、と僕の順で1周約700メートルの距離を4周します。リレー種目も3つのセミファイナルに分かれ、上位2チームが6チームで行われる決勝へ進出。日本チームは去年のシードが低いため、強豪のニュージーランドとハワイがいる第3ヒート。
レース展開としては小林選手、横山選手、伊藤選手がすばらしいレースをし、2位同着でアンカーの僕へ繋げてくれました。一緒にスタートしたのはハワイのカイ・レニー。カイと同じタイミングでスタートし、パドルがぶつかり合いながら漕いでいたら僕がパドルを落としそうになってしまいました。そこからカイに食らいついて漕ぎましたが抜くことができず、3位敗退となってしまいました。2位でゴールできず、応援してくれた日本チームの期待に応えられず悔しい気持ちが溢れました。結局決勝ではハワイが1位2位がニュージーランドになりました。
初めてリレーにでた感想ですが本当に楽しく、日本チームはまだまだやれると思いました。次の大会ではもっといい成績が残せることも確信しました。素晴らしいチームメイト、そして漕げなくても応援してくれたチームメイトの感謝です。
<200mスプリント・3位銅メダル>
今大会最終種目となった200mスプリントレース。今後SUPがオリンピック種目になった時、どういう種目として追加されるかという可能性を広げるために今回初めて200メートルのスプリントレースがエキシビジョンとして行われました。直線200メートルを6人のヒートで競い合う。リレー同様3ヒートのセミファイナルに分かれ上位2人が通過。これも予選でもっともハードなヒートとなりましたが、キャスパーに続き2位で予選を通過しました。
ファイナルは沢山のチームメイトが見守り、応援してくれる中いい形で大会を締めくくることができるようスタートからフィニッシュまで無心になり全力で漕ぎました。全力で漕ぎましたが1位のキャスパーとは1艇身ほど離れ、2位のスレーターに続き3位でフィニッシュ。自身初となるISA世界選手権でのメダルを獲得することができました。本当にリレー中応援してくれたチームメイトには感謝です。
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表彰式では初めて世界選手権という舞台で表彰台に立つことができて本当に嬉しかったです。また、次は頂点に立ち「君が代」を大声で歌いたいと思いました。他のディスタンスやテクニカルのレースも今の自分の最大限を尽くすことができたことには満足しています。そして課題も見え、来年に繋がる最高の大会となりました。
また、チームとして過ごした10日間は他のSUPの大会では味わえない時間でした。チームメイト一人一人が自分の種目だけでなく、チームメイトを常に応援し、サポートし合っていた時間。その中でもいつもサポートしてくれたマネージャーの横山さんとSUPサーフィンの原田さんは誰よりも船に乗り、日本の国旗を手に応援してくれました。SUPサーフィン女子の堀越ユウカ選手は予選で素晴らしいライディングを見せ、ファイナル・デイもクラウドブレイクの大波に立ち向かっていました。残念ながら怪我のため、決勝進出とはなりませんでしたがこの姿をみて将来への可能性を感じさせてくれました。そして勇気をもらいました。また、今回一緒に時を過ごしたレース組の横山選手、そして普段は交流がないけど一瞬で打ち解けることができたプローンの落合選手、小林選手、伊藤選手は大会中最高のエネルギーをいただきました。同じ葉山出身でSUPサーフィン男子としてギリギリで参加が決まった秋山君も沢山のことを大会を通して感じたと思います。今回参戦した僕たちの役目としては各自協会や一般の皆様へISA世界選手権の素晴らしさをフィードバックし、来年そして再来年もさらにいい形で挑めるようにすることです。
国別総合でトップ10という目標を達成し8位になれたことは来年、そして今後のISA世界大会への大きなステップとなったと思います。一人一人がボードの運送、現地でのロジスティックスなど様々な困難を超えた今大会は本当に今後に繋がる大会となりました。今年の成績のおかげで来年は全種目で今まで以上にいいシードとして戦うことができます。今から来年が楽しみです。
大会期間中応援してくれたスポンサーの皆様、そしてファンや家族、仲間の皆様。本当にありがとうございました。そしていつも側で支えてくれている苑子、最後にホッとした顔が見れて本当によかった!
これからオフシーズンに入りますが、来年に向けて動き始めます!
THANK YOU!
Kenny
金子ケニーブログ”KENNY KANEKO”より